一枚の古い写真

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一枚の古い写真〜小田原近代史の光と影〜
平成2年、小田原市制50周年を記念して、小田原市立図書館
から1冊の写真集が出版されました。
読み応えのある編集構成と、なにより、ていねいに再現された
写真印刷がたいへん美しい郷土史本です。その後、このての
ものには珍しく(?)何度か増刷もされ、小田原にお住まいの
方なら、一度は手にしていただきたい1冊です。

この本の中に、五十嵐の写真が数多くとりあげられています。
これをもとに『セピア色の写真展〜「五十嵐写真館アルバム」
にみる大正・昭和初期の小田原』という写真展が何度となく開
催されました。ご覧いただいた方も数多いのではないでしょう
か。

このページではおもに「一枚の古い写真」に掲載された写真を
中心に、わたしなりの言葉で五十嵐写真館の歴史を紹介してい
きたいと思っています。


なお、五十嵐写真館が所蔵しておりました小田原に関わる明治
〜大正~昭和にかけての乾板・フィルムは、当時の図書館長・
石井富之助様のご助言もあり、昭和40年代初め、祖父登、父
史郎の手により、すべて小田原市立図書館に寄贈させていただ
きました。現在、小田原市広報広聴課を中心に、わたくしども
の写真も含め、古い資料のデータ化の作業が進んでいると聞い
ております。近い将来、ホームページ上で貴重な資料を閲覧で
きるようになることを、わたしも心待ちにしております。

「わたしが残した小田原の写真は小田原市民の財産」と祖父登
は語っていたそうです。その気持ちを汲み、整理・保管に携わ
っていただいた小田原市立図書館・市史編さん室の数多くの方
々に、この場をかりてあらためて御礼申し上げます。

2013.11.15〜復興〜

初代粂吉・ハルの二人はレンズ1本を手に、駆落ち同様に小田原
に戻り、写真撮影をなりわいとし、25年。
長男登(写真右端)も修行先から戻り、技師3人をかかえ、ハル
の腕の中には孫の姿も。
バラック小屋のような初代店舗を取壊し、当時最新のモダンデザ
インの建物が竣工する直前に撮影された1枚です。

登の洋服姿、ハルの日本髪、看板のデザイン等々。写真の随所に
大正のかおりを見てとれると思います。すべてに明るい未来が開
けているように思われたはずです。

それから1年たらず、関東大震災(1923年・大正12年9月)がわが家をも襲いました。
「五十嵐写真館」にたった1枚残る幻の写真です。

四男二女を抱えながらハルは、当時としては珍しい「女性写真師」としての地位を確立していきましたが、新しい店舗を再建するまでにはこのときより約10年の時間を要しました。

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